チヌの落とし込みの基本
チヌには色んな釣り方がありますが、エイヤ!と遠投する前に目を向けてほしいのが足元の岸壁です。
岸壁にはイガイやミジガイなどの貝類やフジツボや虫などがついているし、チヌはそもそもストラクチャーに固執する性格をしている(個体による)ので岸壁はそれ自体がポイントになるんですね。
キビレ(キチヌ)は回遊性が高いので一日中岸壁に居ついていることはないのですが、それでも満潮前後など岸壁の餌を食べやすい潮位になったら回遊してきます。
そんな垂直護岸の際を攻めることに特化した釣り方こそが落とし込み。主に使用する餌はイガイ、ミジ貝、フジツボなどでその岸壁に多く付いている物がベストとされます。
ちなみにこの釣り方は関西では落とし込み、関東ではヘチ釣りと呼ばれておりそれらを分けるハッキリした定義というのはありません。
ですのでそれの違いは個人によって解釈が異なるのですが、大まかな通念は以下のような感じ。
<落とし込み>
関西発。3~4.5mの長い竿を使用し、アタリは浮力のある目印糸が引き込まれる速度変化で判断する。
探るタナは目印糸の仕掛けの長さとほぼ同じ。
<ヘチ釣り>
関東発。2~3mの短い竿を使用し、アタリは糸の変化や手元に伝わる感覚で捉える。
探るタナは上の方から底までと幅広い。
しかし今回はワームを用いた落とし込み…落とし込みのルアーフィッシングについて語らせて頂きます。
ワームの落とし込みの呼び名は?
この釣りにはちゃんとした名前が特にありません。チニングが生まれる前からやってる人は「ワームの落とし込み」「ワームでヘチ釣り」という言い方をしていましたし、それでちゃんと相手に通じるのです。
ツイッターでは「ヘチニング」という呼び方をギルミスターさん方が名付けて、もりぞーさんも使い出して知名度が上がっている感じですね。
ちなみに2015年頃に神戸の松村渡船さんが「岸黒(岩壁黒鯛ゲームの略)」という名前でこの釣り方を紹介しました。シーバスタックルとワームで落とし込みを手軽にやってみよう!というコンセプトがウケたみたいですね。
それまでもワームで堤防の落とし込みをする人達は一部いましたが、これによって全国に一気に広まりましたね。ブツ切りにしたワームの房掛けなので一般的なチニングとはちょっと主旨は違うかもしれませんが、逆を言えば形に囚われずに何とかしてチヌを釣ってやろうという素晴らしい発想です。
ちなみに松村渡船さんは摩耶IC降りてすぐの渡船屋さんで、大阪から30分で着きます。現在神戸は沖堤での釣りに対して行政が厳しいみたいですが、船でロックフィッシュ便や太刀魚便をされているので近くの方は遊びに行ってみては?岸黒についても色々教えてくれるかもしれませんよ!
私も釣り雑誌で知ったのですが、その時に使用していたのがジャッカルのベビードラゴン。普通にテキサスリグやフリーリグでチニングにも使えるのですが、岸黒ではこのベビードラゴンを胴体中央で真っ二つに切って針にセットしていました。
確かに堤防で落とし込み釣りをしていたら、ゴチャゴチャしたシルエットと丸い形状の方が良いことがあります。
ワームの落とし込みの歴史
チニング創世記以前
チヌをルアーで狙うチニングが認知されるより以前から一部の人達は岸壁のワーム落とし込みでチヌを釣っていました。
ただこの頃はまだチヌを狙って釣るというよりも根魚を狙っていたらチヌが釣れた、程度のレベルでやっている人ばかりでした。
2005年頃
「Mリグ」
ラパラのシンキングミノー”CD7″のフロントフックを外してアイにガンダマを打ち、リアをダブルフックに変更した物です。
これで干潟のボトムをズル引きして砂煙を上げることで、シーバスの外道としてではなく狙ってチヌ釣れるようになりました。これがチニングの始まりと言われます。
名前の由来は、考案者の広島の松尾道洋さん(アピアのテスター)の頭文字です。ちなみにこの頃はチニングは”ヌーチング”とも言われていました。
「トップ」
Mリグとどっちが先か?時期が微妙です。浜名湖でポッパーやペンシルでチヌを釣れることが知れ渡りました。
「夜はMリグ、昼はトップ」
というスタイルをメーカーが本格的に流行らせようとしてきました。
2005年にジャクソンからRAPOPというチヌ用ルアーが出て大人気!ということからもチニングの始まりは2005年か早くても2004年だったかと。
ただこの頃はワームの落とし込みという目立たないジャンルはどこのメーカーも気にしていませんでした。
2006年~
ごちゃごちゃした時代に突入します。
今は亡き老舗メーカー・オフトのテスターのポッキンこと辻本ナツ雄さんが、テキサスシンカーをクランクベイトに装着してフロントフック無し・リアをダブルフックにした”テキーラ”を開発します。
ラインを緩めるとクランクが浮力でキックバックするというのが売りだったのですが、潮の影響を受けて何10メートルも出ているPEラインを引っ張って浮きあがれるほどの浮力が、あんな小さなクランクベイトにあるのか?というのが正直疑問ですが確かめようがありません。
Mリグもテキーラも根掛かり上等なチニングには値段が高すぎて一気に廃れてワーム全盛期になります。
ユーザー達はジグヘッドにワームで安く済ませようとするのですが、スミスからジグヘッドに独特なガードがついたARリグが出たり、武田栄さんがチヌボンボンを出したりとメーカーも高額な消耗品を発売することで対策をしてきますw
しかし騙されないぞ!というユーザー達はSリグ・Oリグ・MKリグなど既存のシンカーを使って工夫してチヌを釣ります。
ようやくワームが注目されてきましたがまだチニング自体が流行っておらず、ワームによる落とし込みを研究する人はいませんでした。
2010年
チニング界の神と言われる”もりぞーさん”がブログを開始し頭角を現してきました。この頃もまだワームの落とし込みは一部の人がやっているだけでした。
2013年
バイブ・メタルバイブの釣りが広まり浸透します。
ワームの落とし込み、いまだ日の目を見ず。
2014年
シマノが本気になりチニングのことを”ブリームゲーム”と呼ぶようになったのですが結局浸透しませんでした。
嶋田仁正さんが出した”ブレニアス”シリーズは当時のチニングロッドの中では性能は良かったですし、ネガカリノタテなども登場しました。
しかしワームによる落とし込みはまだ表舞台には出てきません。
2016年
オリムピックからキンキン高感度なチヌ用ロッド”シルベラード”が発売されます。
“ショートバイトを弾かない柔らかいティップ”が常識のチニングロッドにおいて、開発者とゴーサインを出した上司はえらい!”性能面ではシルベラード一択”とまで言われるほどに。
そんな感じで広島で始まったこの釣りは大阪で発展していきます。
この時に上記の松村渡船の船長さんが岸黒の名前でワームの落とし込みを紹介し、一気に全国に広まります。
2018年
2018ルアーヘチ始めました。https://t.co/YoDj3lVBVq
— もりぞー (@morizo57) June 3, 2018
干潮潮止まりというヘチるに際し(個人的に)最高に糞なタイミングでしたが、NEWタックル使いたくて強行7枚キャッチ。
手元や竿で感知できる高活性バイトはゼロで少々物足りなかったけど、スリル満点のストラクチャーゲームを楽しめました😁 pic.twitter.com/uBOon5s8xT
もりぞーさんがヘチニングを公開!更に一般のアングラーにワームの落とし込みが認知されていきます。
タックル
手持ちの物で代用するなら…
<<落とし込みに向いているロッド>>
・シーバスロッド
・エギングロッド
・チニングロッド
・メバリングロッド
ロッドの長さは9フィートまでで、硬すぎなければ何でもOK!
要はショアジギング用を除くほとんどのロッドで堤防の落とし込み釣りは可能です。
<<落とし込みに向いているリール>>
スピニングリール
・2000番
・2500番
・3000番
ベイトリール
・フィネスリール
・ノーマルタイプ
上記のタックルと合わせるとなると自然とスピニングリールは2000番~3000番リールになります。
ベイトリールはメバリングに使用するようなフィネスリールからノーマルタイプまで。要はビッグベイトを投げる為にモノフィララインをガッツリ巻けるような大型じゃなければ問題ありません。
<<落とし込みに向いているライン>>
・0.4号~1号程度のPEライン
・4LB~12LBまでのモノフィラライン
ソルトでルアータックルを使用している人は基本的にはPEラインを巻いている人が多いですよね。
そのままで大丈夫です。
ナイロンラインやフロロカーボンのラインを巻いている人もそのままでいいですが、16LBまで行くとさすがに太すぎて餌やワームを抵抗なく落とすことが難しくなります。
ガチな落とし込みタックルなら!
シルベラードプロトタイプC762ML-HS
シルベラードプロトタイプの中で唯一のソリッドティップであるC762ML-HS。
急テーパーによるしなやかなティップで軽量リグの重みも捉えやすい。
垂直護岸は下が空洞になっていることも多く、強力なベリーからバットにかけてチヌ・キビレに主導権を渡さない。
イチオシです。
シルバーウルフMX76MLS-S
スピニング派の人にはこれがオススメです。スピニングなので軽量リグを扱いやすいのは当然ですが、このロッドはかなり張りが強め。
小径多点ガイドで風に強くブランクパワーも活かせる名竿。価格が抑えられていて手が出しやすいのもグッド!
シルバーウルフAIR76MLB-S
シルバーウルフMX76MLB-Sよりもパワーがあり、シルベラードプロトタイプC762ML-HSよりティップに張りがありつつ急すぎないテーパーで落とし込みも相性がいいが、ボトムゲームにおいても万人に扱いやすく高性能なロッドです。
リール
これ一択で他に代えが無いです。
28mmスプールの回転の良さは1g台のシンカーを使用したリグを落とし込むには絶対必要。
大きく重いスプールじゃ落ちていきません。
落とし込みで狙うべきポイント
潮通しの良い護岸
垂直護岸といっても様々ですが、湾奥の水が死んでいるようにドヨーンとした場所は避けましょう。なるべく沖に突き出ていたりコーナーなど潮通しが良い所だと魚もよく回遊してくるので確率が上がります。
潮間帯
落とし込みにおいて最重要となるイガイを初めとした貝類の多くは潮間帯に付きます。
潮間帯とは満潮時の水面と干潮時の水面の差の部分を言います。落とし込みは基本的に潮間帯の貝類を食べているチヌを狙う訳ですから、確率が低いのに時間をかけて底まで攻める必要はありません。潮間帯を過ぎたら横に移動してまた潮間帯を攻める…その繰り返しで広範囲を攻めましょう。
ただし干潮時など潮間帯を狙うのに適していない潮位の時はチヌはボトムに付くので、そういう場合は底釣りに変更するのが効率的です。
風が当たる面
落とし込みは護岸の際を探る釣りですが、だからといってどこでも釣れる確率が同じという訳ではありません。風が当っている面は波が当って餌がよく落ちてくることをチヌも知っています。
風表は釣りがしにくい反面、釣りやすい魚が多いので積極的に狙いたい。やる気のあるチヌは一発で食ってきますよ!
落とし込みの時期
堤防の落とし込みのハイシーズンと言えるのは6月から8月です(地域によって差があります)
その理由はチヌの落とし込みの餌として最もメジャーな餌であるイガイが、5月頃から堤防に付き始め6~8月が最盛期となり9月半ばになると数が減ってしまう為です。
とはいえミジ貝やフジツボは残りますから5月~10月は楽しめます。
まぁ数は減りますが冬でも釣れるんですけどね。餌&ストラクチャーが揃っている所には年中チヌが付きますので。
初心者編(基本)
スピニングタックル
ワームを着水させたら、PEラインを円を描くように水面に浮かべます。
するとこのように、ジグヘッドが沈むにつれて円は小さくなっていきます。
そうしたらまたPEラインを出し、円を描くように水面に浮かべます。
これを繰り返します。
この際にPEラインの沈み具合を見てアタリを取ります。
ラインが急に引き込まれたり、まだ着底しないはずなのにフォールが止まったらそれがアタリです。ビシッ!合わせましょう!
スピニングタックルで落とし込みをする場合、使用するシンカーとワームのバランスはちゃんと考えないといけません。
ベイトタックルの場合は多少ジグヘッドが重かったとしても、サミングでフォール速度を調整出来ますがスピニングはそれが出来ないからです。
よって風や潮の影響も考えながらシンカーの重さを微調整するのがスピニングタックルの落とし込みのキモです。逆にそれが出来れば、専用タックルやベイトタックルでは飛ばせない所まで飛ばせます。
「飛ばす?堤防の際だろ?」と思われるかもしれませんが、8mくらい横の堤防の際を攻められるということです。ベイトタックルだとノーマルリールだと目の前に落とすことしか出来ません。
フィネスリールを使うなら多少は投げられますが、遠くに飛ばせても軽量リグではカーブフォールになります。スピニングリールだと投げた先でもフリーフォールさせられます。
ベイトタックル
ベイトタックルは単純です。
堤防の際にリグを落とし込みながら手元にアタリが伝わることもありますし、スプールの回転が急に止まったら合わせれば良いだけです。
ベイトタックルの利点はスピニングと違ってラインを見なくても良いこと。風が強い日でも出来ますし、ナイトゲームでも出来ます。
またスピニングに比べてシンカーの重量がアバウトでも釣りが成立しやすいとおいうメリットがあります。サミングでフォール速度を調整すれば良いので多少重い分には何とかなるのです。
スピニングと違って足元に落とすことがメインになりますが、忍び足で岸に立ち(重要)、自分の姿を水面に出さず(重要)、クラッチを切って岸スレスレに落とし込みます。
この時、スプールの変化を感じる為に親指で常に軽~くサミングをかけている状態にすることが大事です。これは足で稼ぐ釣りなので、常に移動しながらやって下さい。
堤防についているチヌは上から落ちてくる物が不自然に動いたら警戒して見切ってしまうのですが、「止まる」ぶんには大丈夫です。
2トーンカラー(背中側と腹側で色が違う)のワームをフォール中にスプールの回転を親指で止めると、ジグヘッドのヘッド部が下がる姿勢だったのが、ベンド部下がりの姿勢に切り替わります。
この急なカラーの切り替えによってリアクションバイトを引き出すことが出来るんですよ。
スピニングタックルだと、常にラインを張らない状況でライン変化でアタリを取らないといけませんからこの「止め」が出来ないんです。
中級者編(道具)
食わせ能力でワームは餌に劣る
やってみたけど全然釣れないぞ…
上の初心者編の釣り方を読んだあなた。意気揚々と釣場に出かけましたがおそらくはあまり良い結果は出なかったのではないでしょうか?それもそもはず。チニングという釣りが生まれる前からこの釣りに挑戦した人は多いのですが、上の基本的なことを知っただけではあまり釣れないのが現実なんです。
たまにワームのヘチ釣りを覚えたばかりの人が「餌には餌の、ルアーにはルアーの…」とかウンチクを語りたがるんですが、自分のブログなんでハッキリ書きますよ。落とし込みでは餌の方がチヌ・キビレは釣れます。悲しいけどコレ、現実なのよね!
よほど魚影が濃いフィールドは別として一般的には10(餌)対1(ワーム)とか厳しい差が出ます。それぐらいワームで釣ってる人もいるって?そりゃぶっちゃけフィールドに恵まれてるだけです。あなたがなかなか釣れないフィールドにその人を案内したらあなたと同じ釣果になりますから安心して下さいw
ということでここからはちゃんと釣っていく為の中級者編です。厳しいですよ…ついてこれるんですか?!ワームの釣りというのは釣れるワームと釣れないワームでは4対1くらいの差が出ますし、上手な人とビギナーさんでは10対1くらいの差が出ます。それではその辺をご説明していきましょう!
釣れなきゃ楽しくないと思いますので、まずはこれを使えばボウズ無し?というほど落とし込みでも簡単に釣れるワームをご説明させて頂きます。チニンガー向けのガチなリグセッティングやメソッドは後で。
イガイバリュー
普通のチニングに使用されるワームでももちろん釣れるんですが、餌による落とし込みを普通にワームで再現する場合は餌に似たルアーが強いです。本物のエキス(イガイ、カキ、アサリの身にアミノ酸が配合)が練り込んであり、見た目もそっくり。
落とし込みは臭い&味&シルエットがボトムゲームよりもシビアに出る釣り方ですから断然有利なのです。これで食わない訳がありません。ルアーマンとしてはちょっと萎えるのですが、ヘチ釣りをする知人をして「餌と変わらん」というぐらいの釣れっぷりw
だからルアーマンだけじゃなくてヘチ釣り師にも是非使ってほしいですね。急な釣行など事前に餌が準備出来ないこともあるでしょう?そういう時にも便利です♪なかなか店頭に売ってないですけどね。
フジツボバリュー
フジツボ、カラス貝、カキ+アミノ酸を配合したリアルフジツボワーム。イガイが付く前、落ちた後に出番が増えます。堤防にフジツボがついていたらこっちが強いですね。他のワームと使い分けましょう!
パワークラブ蟹
マルキューのパワークラブのワームの落とし込みにの鉄板。カニは岸壁と切っても切れない関係で、貝を食ってるチヌだって目の前にカニを落とし込みされたら食います。アミノ酸がたっぷり入っていて全国的に釣果が上がっていますからその実力は疑うべくもないです。
ガン玉
これらのワームを使った落とし込みではB~3Bのガン玉を張りのすぐ上に付けて下さい。
Bはリグの落下速度が遅くなり食いは良いですが、風や流れがあるとワームが落ちにくくアタリも取りにくいのが難点。
2Bは標準的な重さ。これをベースにするといいですよ。フォール速度と食いのバランスがとれたスタンダードな重さです。
3Bは風が強い時は底釣り(後で説明)用です。リグの重量をティップで感じやすくワームのフォールスピードも速いのでアタリは分かりやすいのですが、バイトゾーンを通り過ぎるのも早い。
チヌ針
環付き(アイのこと)チヌ針の2号~3号を使います。もうまんま餌釣りですねw
ルアーマンならストレートフックを使用したい所ですがオフセットフックと違いはあまり販売されていないのです。
バス用チニング用で少しはありますがワームに対して大きすぎますし、マス針(ワッキーリグなどに使用するフック)はライトなバス釣りを想定していますから軸が細すぎてチヌに曲げられます。
とはいえ対カバー用の太軸のマス針もありますがやはり大きすぎたり今度は太すぎたりとマッチしません。無理してルアー用のフックを使用するんじゃなくて餌釣り用のチヌ針を使いましょう。吸い込みやすく掛かりやすいのでこれが一番合っています。
上級者編(コツ)
上で説明したワームと釣り方によってあなたは1~2枚の釣果を得ることが出来るでしょう。しかしそれが餌に似せたワームを餌と同じように扱って釣れる限界の枚数です。
あなたがガチなチニンガーならばここからはそれを超えていかねばなりません。以下のリグによって1~2枚から4~5枚へと枚数を増やすことが出来ます。それでは解説していきます。
落とし方
リールのクラッチを切って通常のヘチ釣りのように岸壁に沿って落としむのですが、この時僅かに触れるか触れないかのサミングをしながらフォールさせます。
この釣りのミソは少しだけ重めのシンカーを使って岸壁の付着物のギリギリを通過させていくのですが(後で詳しく書きます)、とはいえフォール速度は抑えたい為。また手元に来るアタリも分かりやすくなります。
ワーム
この釣りは総じて大きなワーム(クレイジーフラッパー)などよりもやや細身小型リトルスパイダー3の方が適しています。
岸壁でチヌが食っている物が物ですから、あまりにもかけ離れた物より口に収まりやすい低アピールな物の方が食いやすい訳ですね。
大きく外れた物を使わない限り、以下にご説明するようにシンカーとワームの組み合わせが適切であれば必ずしもこのワームで無くてもいいんですけどね。
フック
岸壁にも色んな物が付着しているのですが、根掛かりは使い手の操作でほぼ防げます。
よってオフセットフックよりも掛かりの良いストレートフックがベター。リトルスパイダー3には#2~#1とちょっと大きめをオススメします。
シルバーウルフックSSのストレートタイプが最適です。
シンカー
落とし込みは岸壁のヘチに付着している様々な物を突破させないといけない為、フリーリグシンカーが適しています。
ただし使用するのは極軽量な物。加えて警戒心を抱かせないマット塗装してある物と言えば少ない。その為私は以下3種類のシンカーを自作しています。
1.3g
リトルスパイダー3と組み合わせると落下の速度が極めて遅く、上記の軽めのサミングも手伝って秒速約30cm。
岸壁付着物との接触や僅かなラインのスプール食い込みのせいで落下が止まることもあり、使用には注意を要する。
ワームが見切られないギリギリの速度を保ち、難攻不落のサスペンド・チヌを食わせれる組み合わせ。
激浅護岸でも使用可能。
チヌがリトルスパイダーのカーリーテールの動きを嫌うことも。
小さくて丸っこいワームが極めて反応が良い日があり、アタリが無い時は1.3gシンカーはビーローチとの組み合わせはメインを張れます。
1.8g
最も使い勝手の良いスタンダードなウェイトのシンカー。上記の方法で秒速40cmで落とすのに適している。
少しの貝類、海藻類なら滑り落ちるか、軽く揺すって落としていくことが可能。
2.6g
強風時などの悪条件下で操作性を確保する為の重めのシンカー。シンカーの重さを認識出来るうちは少しだけ強めのサミングで落下速度を抑えるべき。潮間帯でバイトが無い時にはディープエリアの底釣りにも対応する。
岸壁から10cm~20cmに落とす
この釣りは岸壁ギリギリであればあるほど良く釣れます。しかし岸壁には色々付着物がありますからあまりにもギリギリだとリグが落ちて行かなかったり、ラインが絡んでブレイクにも繋がります。
よって10cm程度離すのが最良で、20cmまでなら離しても食ってきます。ただしそれ以上離すと極端に食わなくなります。
竿を持つ手を海側にして歩く
落とし込みでは基本的に竿を持つ手を海側にしながら釣り歩きます。正面に海があるとして左側に歩きながらワームを落とし込んでいく感じ。
ワームをヘチギリギリに落とし込む為にはその方が理に適っており、その向きで釣り場を回るヘチ釣り師も多いです。これが逆だとワームがヘチから離れやすいし、体が海側に寄る為チヌに姿を見られやすいし、下手したら海に落ちます。
チヌに姿を見せない
岸壁にいるチヌを上から見下ろすとパーッと逃げていくことがあります。逃げていかなかったとしてもアホな個体を除いてチヌはこちらに気付いています。
餌釣りであろうがチニングであろうが、見えチヌを狙うのは難しいですよね。要は自分で難易度を挙げるに等しい訳です。
乱暴な言い方をするとアホな人がアホなチヌを狙う釣りになってしまい、釣果は激減してしまうんですね。
音を立てない
チヌやキビレには私達の歩く音や話し声が聞こえています。こちらの存在に気付かれないよう、あるいは気付かれても警戒心を必要以上に与えないよう足音には十分に気を付けて下さい。
垂直護岸は車を横付けしやすいですが、だからって本当に横付けしたらそこにいるチヌは口を使わなくなってしまいますよ。
変化を狙う
変化のある場所が有望というのは釣り方を限らず共通で、当然ヘチ釣りにも同じことが言えます。
ストラクチャー、角っこ、ケーソンの継ぎ目などは一級ポイントなので先行者がいなければ重点的に狙いましょう。
岩壁と大型船の間はチヌが安心して居着いていることが多い。
回収時はティップを沖に向ける
岸壁ギリギリに落としたリグをそのまま巻き上げて回収しようとすると岸壁に付着している貝類などに引っかかります。
こうなると回収することはほぼ出来ません。回収時はロッドのティップを沖に向けてリグを岸壁から離して巻上げましょう。
ラインチェックはこまめに行う
垂直落とす釣りだからとなめてはいけません。何度も書いていますが岸壁には色々付着物があるのでラインの傷みが早いのです。
魚が掛かった時は僅か3~4m程度の長さのラインでファイトすることになり、少しでもラインが傷んでいたらそこに瞬間的な負荷が集中してブレイクします。
応用編(派生メソッド)
ここまでで恐らくあなたは4~5枚の釣果を得ることが出来るようになったと思います。おめでとうございます!しかし悲しいかな…隣の餌釣りの人を見て下さい。調子が良ければツ抜けだってしまうのです。かつて私も餌釣師に何度やっても勝てなくて悔しい思いをしたものでした。
おっちゃん、今日は何枚ですか?
今日はの~11枚釣れたでぇ~グフフ…
ぐ、ぐぎぎ…!
ここらがワームの限界なのか?もうヘチは諦めてボトムゲームで枚数を稼ごうか?そんな葛藤にもだえ苦しみながらもついに汚名返上することが出来ました。そのメソッドをご紹介します!
さてワームをヘチに沿って落とし込むとどんなバイトが出ましたか?おそらくは「ガッ!」という一瞬のバイトだったかと思います。
こういったバイトの出方の場合はチヌが本気食いしている訳ではなく、警戒して噛み付き攻撃をしているだけ。
ボトムゲームでよくあるショートバイトはヘチでも起きるのですよ。
あなたが落としたワームはチヌにイガイとは思われていません。
この現象はワームがワームにしか見えていない、もしくは良くて甲殻類の類だと思っていることの証明なのです。
これはフォールの仕方が不自然なことが一番の理由ですが、仮に100%ナチュラルなフォールが出来たとしてもワームは餌には敵いません。
この落とし込みという釣り方は何だかんだ言ってシルエットと臭いの要素が占めるウェイトも大きいのです。
これが私の出した答えでした。そしてヘチの落とし込みから派生したのが以下のメソッドでした。
あれは暑い夏の日でした。落として数歩歩いて落とす…この作業に疲れた私の体は、本人の意思とは関係なく楽な動作を求めたのです。
ピッチングで8mほどリグを飛ばしカーブフォール。そして潮間帯の下限辺りまで沈んだら巻き上げて回収。これが予想に反しカーブフォール中でも食うし、巻き上げ回収時にも食ってくるのです。
更なる効率を求め、次第にそれは角度を変え、ついには…横の釣りに至る!!
この方法で広範囲を素早くサーチしつつ活性の高い個体、ワームに反応する個体を拾うことでついにヘチでツ抜け出来た私は、その後おっちゃんに勝ち逃げする為もうその釣り場に行かなくなりました。めでたし、めでたし!
ということで落とし込みから苦肉の策で派生したヘチの横の釣り…餌としてではなく、ワームはワームとして使うことが大事なのです。
ルアーフィッシングならではのフットワークの軽さを活用したメソッドで、ボトムゲームと基本は同じ。
潮間帯という潮位限定で岸壁の特定のレンジにチヌが固定されるからこそ成立する釣りです。
一応ネットでも調べたんですがこの釣りをやってる人、見当たりません。しかしヘチ=縦の釣りなんてのは一般的な通念であり先入観。
そこそも底で貝を食っているチヌだってその50cm上を通過するバイブで普通に釣れるんですから、普通に考えれば岸壁で貝を食っているチヌの横をリグが通過すればそりゃ食う訳です。
そんな単純ことが常識という色眼鏡によって見えなくなっていませんか?人と同じ事をしても人より釣れるようにはなりませんよ~!
ただチヌやキビレは横に動くことは出来ますが上下には同じ早さで動けません。リグのフォール速度を抑えるのは魚の状態にスピードを合わせる為。ルアーフィッシングの基本ですね。
隣の人が魚がいない所で頑張っている間にあなたはその5倍歩ける訳ですよ。ストラクチャー影など怪しい所では縦のフォールも組み合わせるなどしてじっくり攻めるのもアリ。
この釣りではシンカーはバレットシンカー2.6gがベストマッチ!(足場の高さ等にもよりますが)
フリーリグが縦のフォールに適しているのに対し、バレットシンカーは斜めにスライドすることで横の動きに適しています。
まとめ
チニングの道具・釣り方など総まとめの記事はこちらをどうぞ!
コメント
コメント一覧 (6件)
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流石ですね~!どんなとこでも必ず結果を出すのがうらやましいっす!
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ヘチ釣りですか、餌でも水島港の奥でやってる人は見たこと無いですね。ルアーで結果を出すとは流石です。ただここの水質だと食べるのは怖い気もします。昔と比べて水質はかなり良くなったので平気とは思うんですが
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かめこさん、まいどです!
自分は釣りのセンスがあってスマートに釣っている訳ではなく、ドロドロの意地と執念で無理やり少しばかりの結果を出しているだけです。
かめこさんは釣具屋店員さんの後輩がいるんでしたよね。うらやましいです。その人脈を駆使して釣りまくって下さい!
自分は釣り友達…というか友達が1人もいません。ははは……
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名無しさん、まいどです!
さすが水島周辺のスペシャリストですね。釣り人がそんなに多い場所じゃないので、この場所のお話が出来るとは思いませんでしたw
おっしゃる通り、一時に比べてマシになったとはいえ水は汚いですね。
ただ自分は基本的に釣って遊ぶだけで魚はキープしないので関係ないのです。軟体系と甲殻系はほぼキープしますけど。
人体に危険かどうか?は正直気にしていません。食ってすぐ死ぬようなことはありませんし、店で売ってる保存料・着色料だらけの食品を食い続ける方が危険かもしれませんし。
水の水質は透明度だけでは分かりませんし。
ちなみにたまに胃の中を調べる為にキープしますけど、竜田揚げにすれば何でも美味いですよw
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釣具屋の後輩、店辞めちゃいました笑 辞められると僕の釣りライフに影響するので必死に止めましたが!ダメでした!僕はブログ主さんを友達とよばせていただけるような関係ではありませんが、勝手に師匠として尊敬していますよ!!
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辞めちゃいましたかw
実は自分も釣具屋に勤めていたことがあったんですが、その会社はあまりにブラックゆえ速攻で辞めましたw
まぁブラック企業に落ちた自分が転職出来る先は、またブラック企業しかなかくて今に至るのですが…。
出来の悪い師匠ですいませんが、精一杯頑張りますので見放さないで下さいねw