
チニングロッドってどうやって選べばいいの?
チニングもずいぶん浸透し、全国で楽しまれるようになりました。
それに伴いチニング用のロッドも多数発売されていますが、中には使い物にならないものも…。
ということで今回はガチで使えるチニングロッドをご紹介!
この記事を読んで購入の参考にしてください♪


- 元釣具屋店員
- 釣り歴…20年超
- 釣りのジャンル…ルアー、餌、フライ等
- 2022/10「ダイソー釣具」検索2位獲得 (公式を除く実質日本1位)
- 住所…岡山県
- Twitter…@hopeless_orz
- instagram…@hopeless_orz
良いチニングロッドの条件
飛距離
淡水の釣りと違ってソルトの釣りはチニングに限らず基本的にリグの飛距離が出る方が有利です。
もちろんソルトといっても水路や湾奥など小場所フィールドもありますし手前メインの釣りもありますが、それでも一般的なチニングにおいてはやはり飛距離は正義。
遠くに飛ばせるということは近くにも飛ばせるということですから、ロッドの長さ(取り回し)や硬さ(曲げやすさ)や調子(投げやすさ)などによって「やりやすい」「やりにくい」の差はあれどアバウトに言ってしまえば大は小を兼ねるのです。
特に現在のチニングシーンで定番とも言える大河川などの広大なフィールドでは飛距離は必須と言っても過言ではありません。
そこは「遠投すればいいってもんじゃないよ」「足元に魚はいるのさ」とバス釣り風にサラッと申し上げたいのですが、それは側面に過ぎないのです。
じゃあ飛距離ってどうやって決まるのよ?というとワーム、リグ、ライン、リール…そしてやはりロッドなのです。
じゃあ飛距離の出るロッドってどうやって決まるのよ?というと実は全く異なる2つの原則があります。
1つはフィッシュマンなどの曲がる系ロッド。
野球のピッチングを思い出して欲しいのですが瞬間的に力を込めて投げている訳ではありません。
長いストロークで運動エネルギーを生み出して投げているのですね。それによって最後まで失速しない力強く伸びるボールが生まれるのです。
もう1つはシルベラードなどの硬い系ロッド。
今度は弓矢を思い出して欲しいのですが、柔らかくてフニャフニャの弓では矢は遠くまで飛びません。
硬い弓を曲げることによって矢に速度が生まれて遠くの的まで射貫けるのです。
そう、飛距離が出る法則は2つありどちらも正解なのです。
ただそこでボトムゲーム向け(感度、操作性方向)に振るか、ハードルアー向け(乗り、アクション)に振るかでロッドの選択肢が変わるという訳ですね~。
感度
チニングのメインの釣法と言えばやはりボトムゲームですが、このボトムゲームではロッドに感度が必要とされます。
ロッドを通じて伝わってくる感覚で判断できるのは以下の情報です。
感度が悪いロッドだとボトムを巻いているつもりでもいつの間にかリグが浮いていることがあります。中層のプラッキングなら良いですがボトムゲームでは話になりません。
次にロッドで感知すべきはボトムの質。泥なのか砂なのか岩なのか。それらの変化や配置によってチヌやキビレが居るポイントを特定していきます。
今度はロッドでボトムの形状を仮定して戦略を組み立てます。
ミクロな視点ではカケアガリなのかカケサガリなのか、マクロな視点ではフィールドの全体的な地形がどうなっているのか。
そしてバイトの有無。ロッドを通じてコツッという感触が伝わってきても、それがバイトなのか石なのか判断出来ないとダメですよね。
チヌやキビレは必ずしもいきなり本気バイトをしてくる訳ではなく、いわゆるファーストバイト…元気に動く餌に対して攻撃を加え為の一瞬のバイトがあるのです。
そしてそのまま巻いていると強いセカンドバイト…本気バイトがやってきます。
感度の良いロッドならそのような状況を把握し、本気バイトに備えることが出来るのですね~。
操作性
チニングはただ巻き続けるだけでなく、ロッドを操作することによってリフト&フォールやボトムパンプ、時にはシェイクなど色んな操作をします。
そこで重要なのがロッドの操作性。ティップがフニャフニャのロッドではラインの先のリグは思った通りに動きません。
とはいえロッドが硬ければ操作しやすい=操作性が良いとも限りません。軽いリグを扱ったり、移動距離を抑えて一点で誘いたい時などは多少のしなやかさが欲しい所ではあります。


またグリップの長さも操作性において重要な要素。これはショートグリップの方が有利です。
ただし短すぎると投げにくいし、持ち重りもしやすいのでバランスが大事ですね~。
フッキング
チヌやキビレの口は硬い!しかも遠投した先でフッキングする為にはどうすれば良いのでしょう?
それにはロッドの以下の要素が深く関わってきます。
当然ですが遠投先で掛けた魚の硬い口をフックで貫くにはロッドには硬さが求められます。柔らかいロッドではアワセを入れてもフニャッと曲がってダメですよ。
ロッドの長さに関しては当然長い方がフッキングストロークの点で有利。これは遠投先で掛けるほど、深い場所で掛けるほど、流れが速い場所で掛けるほど差が出ます。
とはいえ一般的なチニングで激流ディープを攻める人は少ない為、そういった特殊な状況を除けば6f台後半あれば何とかなります。
逆に8f超えなどロッドが長すぎてもフッキングが遅れたり感度が落ちたりと不利になることもあり、7.6fがチニングにおける標準的なロッドの長さです。
またティップアクション(先調子)とミディアムアクション(中間調子)とスローアクション(同調子)などロッドの調子もチニングではフッキングに影響を与えます。
ちなみによく「ファーストテーパー」などテーパー=曲がり方という認識で話している人がいますが、これは違います。テーパーとは斜傾具合のこと。
テーパーが同じでも素材や製法が違うと異なりますし、ガイドの位置によっても曲がり方は変わります。
テーパーとはロッドの曲がり方ではなく、ロッドの曲がり方を決定する一要因ということですね~。
話を元に戻しますと、先調子のロッドはバシッと合わせるとベリーあたりの硬い部分でフッキングするので楽です。
これが胴調子のロッドになるとアワせてもグニョンとブランクが曲がってフッキングしにくいのです。その為バイトがあったら大きく合わせてバット部でフッキングしてやらないといけません。
出来なくはないですがやりにくいですね。
遠距離で掛けた場合は余計にこの傾向が強く、バイトがあったらリールを巻いて余計なラインを十分に巻き取ってからフッキングしないといけません。
よってアワセが遅れます。
パワー


硬さ=パワーじゃないですよ。ハードとヘビーは違いますし、強いの反対は柔らかいではなく弱いですから。
チヌやキビレの引きは強烈です。いくらでもドラグを出して良い場所で時間をかけて1枚2枚を釣って満足なら別ですが、ある程度の数を釣りたいなら群れを散らさないように素早く抜いて次のキャストに繋げる必要があります。
そこで重要なのがロッドのパワー。そしてパワーとはバットにしかありません。ロッドを購入する時はティップを天井に押し付けるだけじゃなくてバット部がどうなのかを確認したいですね。
お店によってはバットパワーを見る為に60号くらいのオモリを準備してくれている所もありますよね。
あれはロッドのバットパワーを見る為であり、曲がりを見る為ではありませんよ。先ほど書いたようにガイド位置と個数によって曲がり方は変わりますので。
ソリッドとチューブラーの違いは?


下:シルベラードプロトタイプC762ML-HS…ソリッド
ソリッド


チニングロッドのティップにはソリッドとチューブラーの物があり、それぞれ性格が異なります。
ソリッドとは中まで詰まったブランクのことを言い、ティップで急激に細くなるようなテーパーを出すのに適しています。
特徴としては細く高強度、ただしちょっと重くなりやすい。
現在チニングで使われるロッドに搭載されたティップは細いと言っても従来の柔らかいソリッドではなく、ハードソリッドという高弾性な物がメインです。
チニングロッドにおけるソリッドティップのメリットは以下です。
チニングをしているとリグの移動距離を抑えたい時があります。
例えばボトムバンプでリグを弾きすぎたくない、一点でシェイクしたい、ストラクチャーを大きく乗り越えないで欲しいなど。
そんな時にはソリッドティップのロッドが使いやすいですね。
チューブラー


チューブラーとは中空構造のティップ。
ソリッドと同じ径なら軽く仕上げることが出来る=同じ重量ならより太く出来ます。
チニングロッドにおけるチューブラーのメリットは以下です。
例えば岩がゴロゴロしているような所だとティップが柔らかいと食い込みやすく根掛かりしやすいのですが、張りの強いチューブラーだと事前に根掛かりしそうな雰囲気が分かります。
またリグがスタックしても弾いて外しやすいのも特徴です。そんなシーンではやはりチューブラーが使いやすいですね。
おすすめのチニングロッド
シルバーウルフMX


実売価格2万円台半ば。
安いという理由で舐めていたのですが、コスパは抜群!
正直チニングに慣れていない人が急にキンキンなロッドを使うと使いにくいと思うますが、このロッドは程よくマイルドなので非常に使いやすいですね。
特にキャストする時はある程度のしなやかさがあった方がリグの重量を乗せやすく、ショット=リリースのタイミングも計りやすい。
全モデルハードソリッドティップなのですが、これがまたいい仕事をしているんです!
これがキンキンなロッドでしたらキャストの際に慣れが必要で、振りかぶってもロッドを曲げられず飛距離が出なかったり、ショットのタイミングが一瞬なのでフライ気味もしくは下がり過ぎたりしやすいのです。
とはいえ安い機種にありがちなベナンとしたダルい竿ではありません。ちゃんと遠投も出来て、その先でキチンとフッキングも決まる高性能なロッドです。
ダイワのもりぞーさんが「ようやくシルベラード以外の選択肢が出てきたな」と感じたことを書かれていましたが、なるほどその通り。
ブラックに統一された渋くてシンプルなデザインもカッコ良いし、上級者でも愛用しています。


シルバーウルフAIR


実売価格は3万円台後半。
MXの上位機種がAirで、先ほど説明したメリット・デメリットを逆に表現したロッドです。
軽くて張りが強くて先調子。キンキン系のロッドで慣れが必要です。
人によっては使いにくいと感じるかもしれませんが、チニング歴が長い人にはMXで物足りないと感じることがあるのも事実。
高感度なティップはボトムの状況を的確に教えてくれ、遠投した先の僅かなアタリも逃さない攻撃的なロッドです。


シルベラード


実売価格は3万円。
チニングの歴史を変えた偉大なロッド。よくシルベラード”無印”と呼ばれるのがこのシリーズ。
特におすすめなのがベイトのC762MLとスピニングの782M。どちらも名竿と呼ばれる素晴らしいロッドです!
紫の見た目もカッコよく(個人差あり。概ね皆の評価は高い)、感度がよくて軽いロッドです。
MXとの違いはガイドとティップ。
MXがsicガイドなのに比べてこのロッドはトルザイトガイド。値段差は5,000ほどありますが高感度。
またMXは全モデルハードソリッドですが、シルベラードは742LML-HSを除いてチューブラーです。


シルベラードプロトタイプ


実売価格4万円台後半。
もりぞーさんの理想を形にしたロッド。無印を感度よりもパワー方向に振っており、ツ抜けツツ抜けそれ以上の釣果を目指すエキスパート達の為のロッド。
ビギナーのうちは無印の方が使いやすくて釣果も上げやすいとも言え、決して万人に等しくオススメは出来ません。
しかし腕に覚えのあるチニンガーの多くが頼れる武器として所有しているのも事実で、他には代えの効かない釣果最優先ロッドです。


ブレニアスエクスチューン


実売価格3万円半ば。
ダイワのシルバーウルフがあるならばシマノにブレニアスあり!チニングの元祖は俺達だとばかりに発売されたのがこちら。
エクスチューンはシマノのロッドの上位機種が冠する名前であり、その名に恥じない仕上がりになっています。
このロッドはある意味ですごく分かりやすい。
「軽い」「高感度」をそのまま形にしたような性格で、ティップはチューブラーで、先っぽまでキンキンの超攻撃的ロッドです。
更にメーカーは「高強度」を売りにしており背負えるルアーの限界重量も重め。
強度に関しては何年もかけてラフな使い方をしてきていないので何とも言えませんが、間違いなく良いロッドです。
シマノ独自のカーボンモノコックグリップによって感度の良さはピカイチで、加えてコルクグリップがまた憎い!
コルクグリップはEVAでは出せない質感がたまりませんよね。コルク好きな人ならイチオシのロッドですね~。


まとめ
チニングの道具・釣り方など総まとめの記事はこちらをどうぞ!


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